どこまでも青く。

世界一周後に一軒家を買い、妻とちくわとゆったり暮らす。楽しく子育てしよう。

花束を君に

ばあちゃんが亡くなった。

 

みんなに看取られて、苦しまずにいけたらしい。

 


ばあちゃんが亡くなって北海道に帰る前の日の夜、僕は宇多田ヒカルの8年ぶりツアー初日の会場にいた。

 


※ここからはライブのネタバレも含みます。

 


他のたくさんの人と同様に、宇多田ヒカルが好きだった。

あの頃の宇多田ヒカルは、他の誰とも比べられない、圧倒的な存在だった。

僕はあの頃、歌声も歌詞も、すごく好きだった。

 

 

 

ライブ当日。雨。

久しぶりに会った友達と日本語の通じない謎のタイ料理屋で飯を食べてから、ライブに向かう。


グッズ売り場はものすごい人で、客層は様々だった。


特別なオープニングもなく、さらっとライブは始まった。

すごく歌が上手いわけではないけど、アレンジがカッコよくて、トラベリングってこんなにカッコいい曲だったのか、と気付かされた。

 


ライブは進む。

音楽のアレンジがどこかアメリカを感じる。

めちゃくちゃカッコいい。

 


昔の曲もかなりやってくれた。昔の曲は少し歌うのが大変そうだった。

 


ライブ後半。その時は来た。

 


「花束を君に」

 


宇多田ヒカルが亡くなったお母さんに向けて作った歌だ。

 


「花束を君に送ろう 

 愛しい人 愛しい人

  どんな言葉を並べても

 真実にはならないから

今日は送ろう

涙色の 花束を 君に」

 


ばあちゃんは自分にとっても愛しい人だけれども、母さんにとっては、もっと愛しい人だっただろう。

 

うちの母さんがずっと面倒を見ていて、去年ひ孫見せることが出来た。

その時はしばらく表情がなかったけれども、話しかけると笑顔を見せてくれた。

 


優しい人だった。

 


宇多田ヒカルのライブで、アンコールでautomaticを歌ってくれた。

日本の音楽史に残る歌と言って過言はないだろう。本当にカッコいい曲だ。

曲の間、ずっと、ずっと鳥肌が止まらなかった。

 

宇多田ヒカルは、すごい人だ。

それでいてチャーミングだ。

当たり前だけど僕らと同じ人間で、とても人生を楽しんでいるように見えた。

自然体で、とても魅力的だった。

 

宇多田ヒカルのライブは、僕がとても好きな、goodbye happinessで締めくくられた。

「何も知らずはしゃいでたあの頃にはもう戻れないよ

それでもいいの love me」

 

あっという間に終わりが来た。

 

帰り際にもう一回見たいと言っているカップルがいて、確かに、と思った。

 


ばあちゃんの人生は、どんな人生だっただろう。

 

ばあちゃんがいなかったらおれは生まれ来ていないという、当たり前の事実に今更ながらばあちゃんへの感謝の気持ちが湧いてくる。

 

こうして生まれてきて楽しくやってこれて、嫁と娘に会えたのも、全てばあちゃんのおかげだ。

 

ありがとう、ばあちゃん。

 

ばあちゃんとの最後のお別れで棺を閉める時、みんな泣いていた。

とても、きれいな顔をしていた。

 


骨になったばあちゃんを拾って、ばあちゃんは家に帰って来た。

 

人生とは、なんだろう。

子供を産んで、育てて、その子がまた子供を産んで。

 

世の中にはたくさんの仕事があって、たくさん価値を産んでいるけど、

命を生み出して、その命がずっと繋がっていくことを考えると、それを超える価値のある仕事って、はたしてどれだけあるのだろう。

 

もらった命に感謝して、精一杯に生きよう、と思った。

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