またいつか、どこかで。
またいつか、どこかで。
海外を放浪していた頃、よく言っていた言葉。
日本で暮らしているとあまり言う機会の無い言葉だ。
ひとりで旅をしていると、別の一人で旅をしている人と行動を共にすることがある。
お金が無いバックパッカーは安いバスに乗り、安い宿に泊まる。
泊まるところはドミトリー。いわゆる相部屋だ。
短期で来ているいわゆる「旅行者」にはあまり会わず、
長期で滞在している「旅人」と出会うことが多い。
長期で滞在していると、予定が無い。
あることもあるが、なんとなく決めているにすぎない。
同じ部屋にいる人に話しかけて、今日行こうかと思っている場所について話す。
行きたいところが一致すれば一緒に行くし、
一致しなくても一緒に行くこともあるし、
一致しても一緒に行かないこともある。
一緒に行動すると、だいたい夜まで一緒なことが多い。
無論、夜は飲む。また違う人が部屋にいれば、その人とも。
今までの人生の話、旅の話。世界の話。
人生を交換する時間だ。
仲良くなっていれば翌日も行動を共にする。
3、4日一緒にいることはざらで、下手をすれば何週間も一緒にいることもある。
ワーホリなんかだと何ヶ月も一緒なこともある。
そして、どちらかがその国を去る時間が近づいてくる。
明日からはまた、お互い知らない場所に旅立つ。
またいつか、どこかで。
あれだけ飲んで、仲良くなったのに、もう、会わないかもしれない。
あれだけ仲良くなったのだから、また会うのかもしれない。
Facebookを交換することもあるが、しないこともある。
忘れられないくらいくらい語り合ったけれどもFacebookを交換していない人もいれば、
なんとなくFacebookを交換した人もいる。
日本人以外だと、普通に考えたらもう会わないだろうという人もいる。
数週間一緒だった人に、泣きそうになりながら言った。
またいつか、どこかで。
何ヶ月も一緒だった人と別れて、声にならないほど泣いた。
別れの数が人生を豊かにしてくれた。
あの時のあいつは元気だろうか。
あの時のあの娘は、元気だろうか。
繋がらないから、いいのかも知れない。
もうきっと会えないから、いいのかもしれない。
もう会えないとわかっていながら、
それでも、あなたとまた会いたい、という気持ちを込めて。
またいつか、どこかで。
旅先だけの話ではない。
もし会えるのなら、すぐにでも会いたい。
だけど遠くに住んでいて気軽には会えない。
距離的に近くても、生活の違いから遠くになっている人。
もう二度と、会えない人。
会うことが、必ずしも関係を良くするわけでは無い。
そのままの方が、いい関係もある。
会えなくても、ただいてくれるだけでいい。
楽しく暮らしているのなら、それでいい。
楽しかった時間は、永遠に消えることはない。
また会いたい人と思える人がいること。
それは、とても幸せなことだと思った。